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2008年8月 6日 (水)

両面断熱工法?

先日、RC造における両面断熱工法のメリットをうたい文句とする施工会社からのDMが送られてきました。
あまりに疑問点の多そうなものだったので、少し調べてみると施工会社ばかりでなくマンション販売等でもうたい文句になっているのですね。

この工法とそのうたい文句を要約すると
・従来の合板による型枠でなく断熱材(板)を型枠として使用する
・型枠と断熱材を兼用する
・コンクリートを型枠でサンドウィッチ状態にする
ということで、
・両面断熱の魔法瓶効果(?)により夏の暑さと、冬の冷え込みなど外気と室内の温度差による影響が受け難い
・高い率で結露(室内壁及び壁内部結露)を防ぎ優れた空調効果と共により快適な住まい造りが実現できる
・構造体と断熱材を一体成型するため従来の鉄筋コンクリート住宅に比べ工期及びコストを大幅に短縮、圧縮できる
・省エネ住宅の決定版である
という事。

つまり押出成型ポリスチレンフォームのような断熱材を型枠としてコンクリートを打設し、断熱材とコンクリートを一体形成する工法のようで、「AAB工法」と呼ばれるブロック状型枠を用いるものが主流のようです。
これにより、型枠の解体、断熱材のあと施工といった工程が省略でき、残材の発生も減るためローコストが図れ、幾つもの工法、会社が名乗りを挙げているようです。

ところで、これまでの断熱材を型枠と兼用する工法では、断熱材が25mm前後の厚さしかないものがほとんどで、充分な断熱性能(省エネ・快適性)を満たすものは聞いたことがありませんでした。
これからすると、断熱材を両面とすることで断熱性能を満たそうというのが、今回のこの工法の目的なのかと考えてしまうものです。

また、両面断熱ではコンクリート温度が外気温度と室内温度の中間になるので、内側の断熱材とコンクリートの境界面に結露が発生する恐れがあります。
そのような点からは本州の温暖地でも内側の断熱材の厚さは外側の1/2以下に抑える必要があると考えられますが、この点はどのようになっているのでしょう。

さらに、両面断熱工法では型枠をはずしてコンクリートのコールドジョイント、ジャンカといったコンクリートの不具合を確認できないため、
構造体としての強度面での確かさ
構造体での止水性(防水性能)

といった建物としての基本性能の面において、問題とすべき欠陥が見逃される恐れがあると思われます。

また、コンクリートに含まれる水分や湿気はどこに逃がすのかも不明です。
例えば、外断熱工法では断熱材の性能が一定水準であると同時に、仕上材まで含めた壁の構成システムが断熱とスムーズな水蒸気の排出を実現できてはじめて機能します。

また断熱型枠工法のシステムでは、透湿性に配慮せずに断熱材の表面にタイルを張るなど、システムとして未成熟なものも多いようです。

以上のように、断熱材を型枠とし、更にコンクリート両面を断熱材でサンドウィッチするというこの工法については、懐疑的に考えざるを得ない部分が多々あるものと思われます。
(もちろん全否定するものではなく、上記のような点が合理に説明がなされ、問題がクリアされれば良いのですが...)

そのような意味ではかつて、RC造に限定されていた「外断熱」の良さが、その後木造住宅においても同様に優れたものかでであるように「言葉が一人歩き」してしまったようなことにならないように望むものです。
(これについては木造「外断熱」は「外張り断熱」と改められ、不備のあった工法も徐々に改善されてきたようです)

何にしても、
新しい工法には実績がない分、それが開発された理由、メリットとデメリット(誰にとってのメリットかも含めて)、合理性といった事をしっかりと検証する事が必要ですね。

ビルダー側も消費者側も注意が必要

と感じたものでした。

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