散水養生-コンクリート工事
この週末は夏が戻ってきたような日差しでしたね。
先般、根切工事について記した現場についての続きです。
金曜日に基礎の配筋検査を行い、昨日(土曜日)、耐圧盤のコンクリートを打設しました。
ここ1~2週間の天候からは、コンクリート打設後にそれほどの急激な乾燥や温度上昇はなくなってきたかと思っていましたが、昨日から今日のこの天気です。
どうしても気になって、今日は現場に水まきに行ってきました。
平日であれば現場の人に作業後水を充分に撒くようにと言えるのですが、今日は日曜日ということで現場には誰もいない為です。
ここで打設後のコンクリートの養生(散水)の説明を少しさせて頂きます。
コンクリートは、練ってから硬化するまでの間に、適当な温度と湿気(水分)が与えられることで硬化が促進します。
これはコンクリート内のセメントが、水和反応により強度が発現することによるものです。
また、コンクリートの強度が十分に出るまでは、過度の衝撃や荷重を与えないようにすること、日光や霜などに対してコンクリートの露出面を保護することもコンクリートの養生です。
上記のようなことから、今日のような夏場の日差しは、コンクリート表面の急激な乾燥をもたらす為、硬化に必要な水分を蒸発させてしまうと同時に、コンクリート面にひび割れを誘発させてしまいます。
そこで養生のひとつとして、この季節において非常に大切なのが、初期の散水ということになるものです。
(ご参考までに、コンクリートの強度確認の為の試験体は水中養生といって、水の中につけておきます)
案の定、現場に着くと昨日打設したコンクリート表面はだいぶ白く乾燥しはじめていました。
念のために自分でもホースは持参したのですが、現場脇にはホースが置いてあり、入念に散水。
最初は水を撒いてもあっという間に乾燥してしまうのですが、30分程かけてプールのようになる位、充分に水を撒いてきました。
余談ながら、
コンクリート打設後の雨や、木造の住宅上棟後に木材が雨に濡れることを非常に気にする建て主の方がおられるようです。
場合によっては、濡れたものは取り替えるようにといったクレームもあるようで、これによる施工者への不信にまで至るケースもあることを耳にします。
少なくとも打設後に硬化が始まったコンクリートについては、上記の通り、水(雨)は恵みでもあります。
誤解なきように...
もうひとつ余談ですが、
一般の方が、現場作業が始まる前の朝等に勝手に水まきするのは気をつけてください。
これは危険性だけでなく、コンクリート面が濡れていると墨を打てない等、現場作業に支障が出たりするためです。
どうしても気になる場合は、あくまで現場担当者の了解を得てということですね。
(もっとも建て主の方に水を撒かせるような現場では困りますが...)
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コメント
こんにちは。だいぶ前の記事ですが,ちょうど施主として直面した問題だったので参考になりました。私は土木分野の技術者ですが,今回,工務店からスラブ打ち後は一切養生せず(立ち上がり部は養生するようです)翌日に墨出しすると聞き,(私はコンクリート主任技士でもあるので)耳を疑い,懇願して1日だけ自分で散水養生することになりました(最初の1,2日が水和反応は活発ですからだいぶ違います)。工務店からは”スラブ打ちで養生するなんて聞いたことがない”と言われましたが,住宅業界には中川さんのような方もいると知れて安心しました。
投稿: 通りすがり | 2021年8月29日 (日) 21時27分
コメントを頂きましてありがとうございます。
かつて大手ゼネコン等で施工をする現場で、設計監理者の立場から指摘をすると積極的に散水養生をしてくれましたが、住宅業界においてはゼネコン以上に習慣化がされていないようです。
「懇願して...」とか「ご自身で...」というのはおかしな話ですね。
聞いたことが有る無しではなく、技術者として考えれば、また夏場のコンクリート打設後のひび割れや乾燥状況を見れば体感としても分かるはずなのですが。
散水養生の写真も珍しいようで、このブログの写真は論文やカタログ等での掲載に使用させてほしいとの依頼も何度か受けました。(もちろん許可しています)
当然行われるべき事があたりまえとして行われる、そのような建築業界になってほしいものです。
投稿: 中川龍吾 | 2021年8月29日 (日) 22時05分