屋根下地(田端の家)
今月末に見学会を行う計画をしている田端の住宅のお話です。
(見学会については3月31日付のこのブログをご覧ください)
http://atelier-n.tea-nifty.com/blog/2012/03/index.html
今回は屋根の下地葺きのお話です。
木造住宅における屋根の下地材は、下地合板の上に
アスファルトールーフィング
という素材を敷き込み、その上に屋根の仕上材を葺くのが一般的です。
私が手がける住宅ではこれを使用していないことは以前にもこのブログでも記しました。
http://atelier-n.tea-nifty.com/blog/2010/06/index.html
家は雨露をしのぐ場所という基本的な使命があるもので、
雨漏りをさせないというのは、必要最低限のことであり、また最も重要なことです。
今の技術をしても、未だに雨漏りがする家があるようですが、
設計監理者としては、このようなことは最も恥ずかしい事だと思います。
(もちろん施工会社もですね)
そこで、性能面でより確実性を高める下地材として
いわゆるアスファルトールーフィングというものではなく、
もう少し高性能な材料を使用している
というお話まではこれまでこのブログに記しました。
今回、この素材についてもう少し具体的なお話をします。
というのは、ワンランク上とはいっても様々なグレードがある為です。
(ワンランクというより、2ランク、3ランクと表現した方が良いかも知れませんね)
屋根の下地材は、通常のアスファルトールーフィングの欠点である
・破れやすさ
(特に低温になると硬くなり、破れやすくなるものです)
・継ぎ目の隙間
(毛細管現象で、水が水上にも流れてしまうことがあります)
・釘を打った際の、釘穴からの漏水
をなくすことが重要なものです。
これらの性能面で様々なグレード、仕様の製品があります。
もちろんメーカーも様々ではありますが、
今回の現場で採用したのは、
改質ゴムアスファルトという素材のもので、
田島応用化工、アスヤンSB105というものです。
(メーカーや商品の宣伝ではありません)
ルーフィングの中の不織布の強さ
ルーフィング自体の厚さ
粘着性能
屋根を葺くにあたっての釘穴の止水性
これらを考慮して決めたものです。
屋根勾配や仕上材によってもどのような仕様とするのか見解が変わるものともいえますが、ハイグレードに近い下地材だと考えています。
ハイグレードといっても、屋根に特別高いコストをかけているものではありません。
というのは、この下葺き材の材料費は若干割高にはなるものの、
施工費が変わる訳ではなく、
むしろ屋根に関わるコストは屋根材とその形状によることの方が
圧倒的に屋根工事のコストを左右するものです。
つまり、屋根の形状をシンプルにすることの方が
漏水の危険性を減らすばかりでなく、無駄なコストをかけずにすむと言えます。
私の事務所ではプランのセカンドオピニオンサービスという設計に関する相談を受けていますが、
設計についてではなく施工面の相談として、家を新築するという方からたまに
「構造、防水についてのみ見て(監理して)もらうことはできませんか?」
といった問合せを受けることがあります。
家を建てる人にとっては最も気になり心配される部分なのでしょう。
その一方で、屋根の上の最も目立たない所で、
普通の建て主さんにとっては、具体的にこだわりを持つことの少ない部分のお話でもあります。
それだけに手を抜かれやすい場所ともいえますので、
家づくりをお考えの方は是非参考にしてみてください。
「コストに留意しながらも基本性能を上げる」
という屋根の下地の話でした。
ご参考までに、
この家では建て主さんのご要望もあり、
屋根材はガルバリウム鋼板ではなく、
カラーステンレスを採用しました。
右の写真はまだ施工途中ではありますが、屋根工事の現況です。
↓よろしければいずれかをポチッとお願いします。
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)
最近のコメント