人を迎える玄関庇
先月、現在竣工が近づいてきた富士見台の家の外部足場が解体され、
これまでシートでその全体像が見えなかった建物がその姿を現しました。
私が住宅の設計をする際にこだわっていることのひとつに玄関の庇があります。
私の師である前川國男先生は、庇は「人をINVITEする為のもの」と言われていました。
上野の東京文化会館や新宿の紀伊國屋等、
前川先生の一連の作品によく使われた大庇は
まさにそれを表現するものでした。
一方で、尊敬する建築家ルイス・カーンの住宅は全く逆で、
住宅には庇がないという以上に、
どこから家に入るかも分からない程、
玄関に関しては素っ気ないものです。
その点では、やはり前川先生の影響でしょうか、
私は特に住宅の設計においては、
建て主さんをはじめ、さまざまな人を迎えることになる玄関には
人を招く為の空間をつくる
ということに非常にこだわって設計をしています。
もちろん、玄関は家の顔ともいえる場所ですので、
道路からどのようなアプローチで玄関に至るようにするか、
家の顔としての玄関をどのような見え方とするか、
目に最も近く、手で触れる場所に近い壁や玄関扉、
そして直接手を触れることになる取手等はどのようなものにするか等、
気にする部分は多々あります。
そのような点では玄関庇はあくまで空間づくりの要素のひとつではあります。
しかし建物の全体的な形態とも大きく関連するものだけに、
単に雨よけとしての機能を満足すればよいというものではなく、
人を迎えるという日常生活にとっても、街への影響という観点からも
非常に重要なものだと思っていまるものです。
下の写真は、前述の住宅で足場が外れた際の
アプローチ廻りから玄関ポーチを見た写真。
これからアプローチ廻りの外構工事が始まるところです。
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