ここ数年、私が手がける住宅は不思議な事に、
もともとの住まいを取り壊してから新築する
いわゆる「建て替え」
のケースが多くなってきたことに最近気がつきました。
ということで、工事の監理はまず既設建屋解体から始まるケースが多くなりました。
建て主さんと共に時を過ごした家を壊すのを見るのは、
設計者であっても一抹の寂しさを感じるものですが、
特に築年数の長い住宅の場合はなおさらです。
先日解体工事が始まった住宅は築後70年近いものでした。
住宅は造り方によって建てられた年代が分かるものですが、
昭和初期の住宅は、私自身がまだ生きていない頃のものという事もあって、
建築当時の時代背景やレトロなデザイン、
質素である一方で質実剛健な風合い等
かえって新鮮にさまざまな事を感じさせてくれるものです。
ということで、
今回の解体開始の立ち会いにおいては
工事監理の視点で現場を見る一方、
何をするのでもなく、
長い時を過ごしたモノが無くなる様子を眺めてしまいました。
今回、この家の建て主さんからは
出来れば何かの材料を、思い出を残すという意味で再利用をしたいのですが...
というご要望がありました。
結果としては玄関廻りの床板(欅の無垢板)を再利用する事にして、
これについては解体屋さんではなく、
大工さんにその床材を剥がしてもらうことにしました。
他にも、
レトロな照明器具
壁の上部から下がるひも式の照明スイッチ
床柱や格子組の欄間や障子など、
捨ててしまうには惜しいものはいくつかあったのです。
一方、
それらを残して今の生活の中で活用できるか
と考えても、なかなかうまい案はないものです。
(まさにジレンマ)
充分に指命を果たしたモノだから
と考えるのが合理的な思考ではあるのですが...
人はモノを捨てるのが得意な人とそうでない人がいると思います。
私はまさに後者ですね。
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