住まいの省エネ基準、断熱等について(夏になると思うこと)
8月も下旬となり、ようやく暑さが少し和らいできたようです。
9月の残暑はどのようになるのでしょうね。
家の作りようは、夏を旨とすべし。
冬はいかなる所にも住まる。
暑き比、わろき住居(すまい)は、堪え難き事なり。
よく知られた吉田兼好の徒然草の一節です。
昔から言われていることですが、この季節になると痛切に感じることが多いものです。
一方で、住まいは「冬を旨とすべし」
冬を快適に過ごす住まいとするための高断熱、高気密こそ必要不可欠という考え方もあります。
これらを上手く両立させること、
家は、快適な住まいとしてコストも含めてバランスの良い家をつくることが求められています。
住宅の省エネ基準は1980年に制定され、断熱性能に影響する熱損失係数の考え方やその基準値は1992年(平成4年)と1999年(平成4年)に大巾な改正が行われました。
その後も2001年、2006年、2009年に部分的な改正がされ、2013年にはまた大きく見直しがされました。
つまり年々、住まいに求められる温熱環境に関するニーズや指針とすべき基準は変わってきています。
もう少し簡単に言えば、40年前、20年前、10年前、現在では温熱環境や断熱、省エネ等に関する考え方はかなり異なるものになってきています。
私の自宅は築20年を過ぎています。
この当時はガラスはまだ単板(1枚)が主流で、断熱サッシも今のように普及していませんでした。
1階は外断熱工法を採用したRC造ですが、2階は木造の在来工法。
断熱は当時はまだ一般的だったグラスウールによるものです。
1階は夏でもエアコンをあまり必要としない程の住まいですが、当然の事ながら、2階(木造)は夏になるとエアコンは必須です。
住宅の設計をする上では、自身の経験や体験はもちろん、先に記したような省エネ基準の見直しや時代のニーズ等といった家の基本的な性能のひとつである断熱性能を考えて、断熱材や工法等を選定することになります。
経験的には、5年から10年で断熱の仕様を見直しているように思います。
現在の基準では、私の自宅を設計した頃(約25年前)と比較すると、断熱性能で言えば当時は北海道等の寒冷地で採用されていたグレードに近いものが東京の住宅でも採用することになっています。
当然、その当時では考えられなかった事ですが、今はそれが標準といえるものになっています。
もちろん、断熱工事費もグラスウールを使用していた頃と比べるとその2~3倍は必要になってはいますが、温熱環境という点では近年の家は本当にうらやましいものです。
毎年、夏になると考えることが多い断熱に関するお話でした。
PS.
下の写真はお盆の頃と数日前の雲。
夏の雲から少しずつ秋めいた雲に変わりつつありますね。
↓よろしければいずれかをポチッとお願いします。
(アクセスランキングにご協力ください)
最近のコメント